シェイクスピアって有名だけど、どんな人か知らなかったtakuran工場長です。
あなたはウィリアム・シェイクスピアと言う人物をご存知ですか?
イギリス出身の有名な劇作家と言う事はご存知だと思いますが、どんな人だったか、どんな生涯を送ったのかご存知ですか?
僕は知りませんでした(笑)
ただ、これ知らない方が普通なんですよ。
だってウィリアム・シェイクスピアの生涯には謎に包まれている部分が多すぎるんです。
この記事ではそんなシェイクスピアの生涯についてある説をベースに描いている『7人のシェイクスピア』について個人的な評価と感想を書いていこうと思います。
この記事を読んで欲しい方
- シェイクスピアの劇が好きな方
- 楽しんでイギリス宗教改革を学びたい方
- 歴史マンガが好きな方
- そんなのはどうでも良いけど面白いマンガが読みたい方
あなたはシェイクスピアの正体について、諸説あるのをご存知でしょうか?
本作の主人公であるシェイクスピアは、ゴーストライター説・複数人説などがある人物となります。
この『7人のシェイクスピア』は複数人説をベースにし、「7人で共同制作していたのではないか?」と言う切り口で書かれている作品となります。
また、シェイクスピアの生きていた時代のイギリス(イングランド)は宗教改革の真っ只中の時代となります。
このマンガには、この宗教改革が当時の庶民に与えた影響についてもリアルに描かれてるので、宗教史的にも興味深い作品となっています。
- シェイクスピアの人物(設定)へのアプローチが面白い
- イギリスの宗教改革が庶民に与えた影響についてリアルに描かれている
- 当時のイギリスの階級制度についても学べる
この『7人のシェイクスピア』は現在ヤングマガジン(講談社)で連載中の『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』の前身となる作品となります。
『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』ロンドンに出てくるところから始まりますが、この『7人のシェイクスピア』はその前の半生を描いた作品となっております。
実は僕、この作品があるの知らなかったんですよ(笑)
この半生がのちのシェイクスピアに大きく影響を及ぼしているので、知らなかった方は是非読んでいただきたい作品です。
この時点で気になった方は下から現在1巻分の試し読みできますので気軽に読んでみてください!!
最初は7人居ませんけどね!!
この『7人のシェイクスピア』はイギリスの宗教改革を知っているとより楽しめますので今回は簡単に宗教改革について説明してから作品を紹介していこうと思います。
シェイクスピアの生きた時代とイギリス宗教改革
宗教改革の発端はドイツ
宗教改革については、世界史の授業で皆さんも習ったと思いますがおさらいしていきましょう。
- 16世紀のドイツでローマ教皇が寺院改修のため「免罪符(免罪符)」って言うお守り的なものを発売
- 神学者のマルティン・ルターが「宗教で金儲けしてんじゃねぇ!純粋に信仰のみで勝負しろや!」ってブチ切れて批判
- キリスト教がカトリック教会とプロテスタントに別れ、社会や政治に変動が発生
噛み砕いて書くとだいたいこんな感じです。
ドイツでの宗教改革の流れに関しては下に書いておくので気になったら読んでみると良いかもです。
- はじまりルターが教会勢力を批判1517年に寺院改修のためにローマ教皇がドイツで「免罪符」を発売。これに対し神学者ルターが「信仰によってのみ義(正しいこと)とされる」と批判。ドイツで宗教改革が始まる。
- そして戦争へ宗教戦争勃発封建制度に不満を持った騎士や搾取に耐えかねた農民が続々蜂起、鎮圧されたものの、ルター容認派の貴族と旧来的なキリスト教を支持する貴族との間に政治的闘争が発生、最終的に武力衝突へ。
- ドイツでの終結キリスト教派の分裂1555年にアウスブルグの和議が成立。一応の終結を見せるもその後も対立は続き、最終決着は17世期前半まで長引いた。長引いた原因としては領主層までしか宗教的自由が与えられていなかったためとされている。
イギリスではどうだった?
それではシェイクスピアの住んでいたイギリスにおいてはどうだったのかをみてみましょう。
- 16世紀前半に国王ヘンリー8世の離婚問題(当時のキリスト教は離婚不可)でローマ教皇と対立し絶縁
- イギリス国教会を樹立しローマ教皇から分離
- 教義はプロテスタントに近いが、儀礼はカトリック的な要素を残していた。
- ヘンリー8世以降は統治者によりカトリックとプロテスタントを行き来するが、エリザベス1世のときに英国国教会に有利が確定
シェイクスピアの生きた時代は、10歳ごろからエリザベス1世の統治時代ですので古くから伝わっていたカトリックは弾圧されていきます。
そして彼はイングランドの田舎の出身でしたので、いまだカトリック的な影響を多く受けたものを信仰していました。
カトリック信仰はシェイクスピアの著作にも多くの影響を与えているとされ、『7人のシェイクスピア』でもこの宗教の変遷・弾圧の様子はリアルに描かれています。
『7人のシェイクスピア』の基本情報(書誌情報・作者・あらすじ)
書誌情報(掲載誌・出版社など)
- 出版社: 講談社
- ジャンル: 青年マンガ
このマンガは、第1章のこの作品は『ビックコミックスピリッツ』(小学館)で連載されていたものなのですが、新シリーズが『ヤングジャンプ』(講談社)での連載に変わったので発売元も変わったみたいですね。
結構レアなケースですね。他の漫画だとあまりみないかも。
作者・あらすじ
- ハロルド作石
- 代表作は『BECK』(実写映画化作品)
- takuran工場長的には『ストッパー毒島』が好き
音楽マンガ『BECK』で有名なハロルドさん。作中でよくプロレスの話や技が出てくるプロレスフリークです。チックくん最高!!
- 詩作の才能がある「リー」が表向きのシェイクスピアとなる「ランス」教養(宗教)担当の「ミル」が出会い、ロンドンに行くまでの物語が描かれる
- リーはリヴァプール近郊のチャイナタウンに住む少女
- 不思議な力を幼少から持っていたため、周囲からも家族からも疎まれていたが、チャイナタウンにきて状況が少し好転し始めていた
- その最中、長雨が続きチャイナタウンは生贄を差し出すことになり、リーが選ばれる
- 生贄の儀式の最中に近くの川が氾濫し街は流され壊滅、生贄の儀式のため棺桶(箱)に入っていたリーだけ助かりランスの家の近所の川で助けられる
- ランスとリーが出会ったことにより「シェイクスピア」としての運命が動き始めるのだった
この辺りが1巻から2巻中盤あたりの内容となります。
その後にランスの生い立ちや、ミルとランスたちとの出会いとなるのですが、リーの生い立ちだけでも結構ヘビーなものがあります。
ランスの生い立ちにおいてメインで書かれているテーマとしては「宗教」と「階級」があります。
領主によるカトリックへの弾圧の様がリアルに描かれているのはもちろんのこと、ランスがどうして階級にこだわりがあるのかと言うところもしっかりと描かれており、落とし込みも上手いと感じました。
最終的にランスは「ジェントルマン」になって自由になることを目指していくのですが、その理由づけがしっかりできていると感じました。
『7人のシェイクスピア』は高水準な作品!
『7人のシェイクスピア』の評価
『7人のシェイクスピア』は総合力が高くどれも高水準でまとまっているマンガになりますね。
以下、レビュー詳細と感想になります。
ネタバレ含むので読みたい方のみ読んでください。
- シェイクスピアが7人で書いていたと言う設定の切り口
- 一人ひとりのキャラがしっかり設定されている
- リーと言う異国の少女のフィルターを通す、ことによって当時のイギリスの情勢を客観的に見れる
まず7人いたという設定が斬新すぎるのと、この7人と言う数字が絶妙だと感じた。
一人一人のキャラもしっかり背景も含め設定されており深みを持たせているし、その中に純イギリス人でない異国の少女リーを入れることにより内的な視点、外的な視点両方から描けているのもポイント。
- 初期段階でも背景・人物ともに申し分なくかけている
- ただし初期段階では少し人物に癖あるかも
- 後期の段階になると書き慣れてきたのか絵柄がすごくスタイリッシュに
これは他のハロルド作品にも共通なのですが、初期と中期〜後期にかけてキャラの絵柄が少し変わります(笑)
多分作者が描くのに慣れるんだと思いますが、初期からそのクオリティに持ってってくれれば9〜10点コンスタントに行くのになぁと毎回思ってしまいます。
まぁ、癖はそこまでないので安心して読めます。
- キャラそれぞれの人物背景をしっかり書き込めている
- シェイクスピアの史実に基づき、ランスの成功を求めるだけの理由づけに成功している
- 史実への落とし込みが上手い
シェイクスピアの藩政へのランスの過去の経験の落とし込み方、当時の情勢との絡め方がとてもうまく、ランスが成功を求める背景を違和感なく描き切っている。
またリーの絡め方もうまく落とし込めており高水準でまとまっている。
『7人のシェイクスピア』は楽しんで読めるとともに歴史も学べる優秀な作品だと思います。
ランスの苦難の中でももがく姿には勇気づけられますし、リーも壮絶な人生を歩んでいますが可憐に生きていて素晴らしいなと感じました。
また、ミルもコメディリリーフとして活躍する一方、しっかりとした教養やその優しさでみなを包み込む様はみていてほっこりします。
全てが高水準んで良質な物語となっていますので是非読んで欲しい作品です。
しかし、続編である『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』に比べるとエンターテイメント感が少し薄いかと感じるのでこちらから先に読んで戻ってくるのも一つの手かもしれません。
『7人のシェイクスピア』の口コミは?
ここまで内容について書いてきましたが、気になる口コミをアマゾンのレビューとTwitterの感想から見ていきましょう。
Amazonでの口コミ
Amazonでの口コミ
有本
この人の漫画は面白い。シェイクスピアに興味は無かったけど、この題材をこんなに面白く描けるのは流石だなと高野さん
面白い。地方出身でグラマースクールまでしか出ていないシェイクスピアが、なぜロンドンで劇作家として成功するに至ったのか、その答えに「7人」という著者の創作を加えて、見事に漫画化している。とはいえ、ところどころ展開が荒いところもある。
第1巻は中国人少女の物語だが、かなり厚く紙幅が費やされている。恐らく著者は7人全員分、この程度の厚みを考えていたのだろう。しかし、人気が出なくて焦ったのか、その後は史実に合わせて淡々と進んでいく。
また、使用人を装った聖職者に対する主人公の態度も、聖職者への強い尊敬の気持ちがあるはずなのに、ただの使用人へのそれになっており、違和感がある。絵柄については、好みが分かれるかと思う。著者は顔をデフォルメして描くので、少し媚びた印象を受けるかも知れない。ただ、慣れの問題かと思う。話が面白いので、段々と気にならなくなるはず。極端に過激な描写もない。
ちなみに、小学館で連載された単行本全6巻が「第一部」であり、講談社で連載されている『NON SANZ DROICT』と副題が付いたものが「第二部」に当たる。第二部から読み始め、その前日譚として第一部を読むというのでも問題ないだろう。
第6巻は、引き続き主人公の過去編。主人公の出奔と、聖職者とのあらたな出会いが描かれる。物語は『NON SANZ DROICT』へ。
少し違和感がある方もいらっしゃるようですが概ね好評価ですね。
みるへの態度が気になっているようですが、身分を隠すためカモフラージュさせているとう印象を個人的に受けていたので態度とし的になるところではありませんでしたが、言われてみれば程度の違和感かもしれません。
またミルは人柄がめちゃくちゃいいので、ランスが甘えているだけなのでは?と個人的には思います。
twitterでの口コミ
Twitterでの口コミです。
7人のシェイクスピア 1~3巻: … それにしても、この人は人と人の繋がり 出逢って、その人と人の生みだす“化学反応”のようなものを 描くのがとても上手い気がします。 テーマ: 感想 – ジャンル: アニメ・コミック http://bit.ly/gR1r85
— animebot (@animeblogzz) February 19, 2011
【マンガレビュー】
『7人のシェイクスピア』
偉大な作家であるシェイクスピアが
作家になった経緯は分からないことが多く、1人ではありえないくらいの作品を短期間に生み出している。
そこに切り込んだ、歴史マンガ!
史実に基づいた設定やストーリーほんとに面白いです! pic.twitter.com/lAbdHqCjmI— ライブラ (@raibura0801) September 10, 2017
こちらも概ね高評価ですね。
またこんなところからも評判が!
早速、レビューが掲載されていますが、この作品を読んでいるうちにシェイクスピア作品そのものへも興味を持ち始めたとのこと。
「7人のシェイクスピア」は史実を元にしたフィクションですが、これをきっかけに原作を読んだり観劇する人が出始めたら、それは素晴らしいことではないでしょうか?!
— 永田斉子 リュート奏者&月琴奏者 (@seikolute) July 6, 2017
こちらは第二章であるNON SANZ DROICTの方でリュート奏者の方がつぶやかれたものとなります。こんなところにも波及しているのですねー。
『7人のシェイクスピア』は無料で読める?
と言うことで『7人のシェイクスピア』の紹介をしてきました!
僕が今回の『7人のシェイクスピア』をオススメする理由は以下の3つとなります。
- シェイクスピアの人物(設定)へのアプローチが面白い
- イギリスの宗教改革が庶民に与えた影響についてリアルに描かれている
- 当時のイギリスの階級制度についても学べる/li>
『7人のシェイクスピア』が面白かったので、是非読んでもらいたいと思い、無料で読めるところがあるか調べてみました。
現在『7人のシェイクスピア』は下記リンクから1巻分無料で読むことができます!!
こちらから試し読み可能ですので気になったら試し読みしてみてください!!
最後までお読みいただきありがとうございました。良いマンガライフを!!