『善く生きること』は難しいと思うtakuran工場長です!
いきなりですが、あなたは『善く生きること』ができていますか?
そもそも「『善く生きる』ってなんだよ?どうすれば良いの?」「『善い』って言う尺度がわからないよ!」と思うかもしれません。
正直、僕にもそれはわかりませんし、もしかしたら誰にもわからないかもしれません。
と言うか『善く生きる』と言うことには答えがないんです。
ただし、指針はあります。
その指針を示すのが『倫理学』と言う学問であり、今回紹介する『ここは今から倫理です。』のテーマとなるものとなります。
- 『善く生きたい』と思う人
- 倫理学を学んでみたい人
- 考えるベースが欲しい人
この『ここは今から倫理です。』は宝島社『このマンガがすごい!2019』オトコ編にランクインした漫画であり、ドラマ化が決まっているマンガでもあります。
個人的に作者が好きだったのと、題材である「倫理学」をどう料理しているのか、個人的に興味があったので読んでみたところ、倫理学の入門書として読むのにちょうどいいのではないかと思い紹介してみようと思いました。
- マンガで倫理学が学べる
- 生徒たちの悩みが現代的かつ普遍的で感情移入しやすい(一部例外あり)
- 視点がめちゃくちゃ倫理学的
実は『ここは今から倫理です。』は、僕にとっては珍しい傾向を見せたマンガだったんです。
なぜかと言うと、試し読みの1話がどうにも刺さらなかったんです(笑)
微妙だけど買おうかな?どうしようかなと思って躊躇ったんですが、ダメならダメで記事になるかと思い購入。
2話目からは無事楽しめたのですが、個人的につかみが弱いと感じるマンガになるので、レビュー全部読んでから試し読みすることをお勧めします。
それでも「この時点で気になった!!」と言う方は、下記リンクから1話分試し読みできますので気軽にどうぞ!!
『ここは今から倫理です。』の基本情報(書誌情報・作者・あらすじ)
「倫理」と「倫理学」って何が違うの?
本来は道徳や規範のことを「倫理」と言うんだけど、なぜそれが『善い』のかを考えるのかが「倫理学」なんだよ。
テーマである「倫理学」自体が少しわかりにくい学問となるので、「倫理学」について簡単に説明してから書誌情報・あらすじを見ていこうと思います。
倫理学とは
- 哲学の分類の中の一つである、道徳哲学に分類される
- 人間のあり方、生き方、社会のあり方をあつかう
- 簡単に言うと『善く生きる』とは何かと言うことをあつかう
- このマンガで扱っているのは一番オーソドックスな「規範倫理学」と言う分野
人間が社会的に生きていくために必要なルールについて、それが「善」なのかについて論ずる学問ですので、身近な哲学と言えます。
基本的に倫理学において議論されるのは、「善」とは何か?「悪」とは何か?であることが多いです。
それを視点の切り替えなどを駆使し、社会規範などと照合を行いそれが「善」か「悪」かを多角的に議論、思考していく学問となります。
一般的によく知られているのは、「性善説」「性悪説」がありますが、現代で面白い議論となっていたのが、「ボクシングは『善』か『悪』か」と言うのがあります。
倫理学も現代化して細分化されているので、気になった方は「応用倫理学」で調べると面白い議論に出会えるかもしれません。
このマンガの1巻で印象に残った主人公の倫理の説明です。長いので読みたい方だけ読んでください。
この説明は割とわかりやすいのでおすすめです。
「倫理は学ばなくても
将来困る事はほぼ無い学問です
地理や歴史の様に生活する上で触れる事は多く無いし
数学の様な汎用性も英語の様な実用性もありませんこの知識がよく役に立つ場面があるとすれば
死が近づいた時とか
倫理は主に自分がひとりぼっちの時に使う信じられるものがなくなった時
死が目前に迫った時
人は宗教による救いを求める”宗教とは何か”
人間関係が上手くいかない
他人を羨んで妬んで上手く生きることができない。”よりよい生き方を考える”
悩みが絶えず苦しい…
憂鬱…
私は何のために生きている?
昔の哲学者たちは生涯をかけ悩み続けた。”幸せとは何か”
「男はこうあるべき」とか「女はこうしなきゃダメ」とか…
そんな事誰が決めた?”ジェンダーについて”
「死にたい…。」
”いのちとは何か”
どうですか
別に知らなくてもいいけれど
知っておいた方がいい気はしませんか引用:雨瀬シオリ『ここは今から倫理です。(1)』
結構倫理学の本質をついている語りだと思います。
書誌情報(掲載誌・出版社など)
- 連載誌/レーベル:グランドジャンプPREMIUM
- 出版社: 集英社
- ジャンル: 青年マンガ
出典:ebookjapan商品ページ
グランドジャンプPREMIUMは、現在グランドジャンプむちゃにリニューアルされてますので気をつけたいところ。
それにしても、またグランドジャンプ系列だと!?
僕とグランドジャンプ系列はなかなか趣味が合いそうです(笑)
過去のグランドジャンプ系列の感想等はこちらです。よかったらみてみてください。
作者・あらすじ
- 雨瀬 シオリ(女性)
- 代表作はラグビーマンガ『ALL OUT!!』(アニメ化作品、原作完結済)
- 『ALL OUT!!』の連載後半から本作を掛け持ちして描いていた
『ALL OUT!!』を描いていた作者さんですねー。あのマンガは割とリアル路線でかつ暑くてよかったですね!
機会があれば取り上げてみようと思います。
- 主人公は高校の倫理教師である高柳(たかやなぎ)
- 生徒の悩みを倫理学の思考法を提示して解決していくオムニバス方式
- 生徒の悩みは現代的であるものの、割と普遍的なものが多い
具体的な悩みの例をあげると、「大人も子供も稚拙・無知に見える」「SNSで承認欲求を満たしたい」「いじめられっ子を救うことができる教師になりたい」「目立ちたい」だとか、ちょっと変則的ですが高柳自身の「教師の資質」についてのものなど多岐に渡っています。
いじめっ子といじめられっ子の関係を、喫煙者とその副流煙を嫌がる嫌煙者に例えて諭してみたり、「SNS」や「目立ちたい」といった悩みには「人格(ペルソナ)」で諭してみたり、恩師との議論を思い出し苦しんだりと言う様が描かれています。
オムニバス形式なので、あらすじの例を挙げるのは難しいのですが「人格(ペルソナ)」についての話はとても興味深かったですね。
授業中に隠れてSNSに夢中な生徒に対して諭す話になるのですが、「社会的」な人格を仮面に例え「仮面を磨くのも重要だが、仮面を被る自分を磨くのが大事である」と言うことに気づかせる話となります。
この話は、前の会社で社会的ペルソナ選択を間違った、自分にぶっ刺さりました(笑)
非常に現代的な悩みが多く扱われていますので、現代のストレス社会を生き抜く方にもその考え方のベースとなるものに溢れていました。
『ここは今から倫理です。』のレビューと感想
『ここは今から倫理です。』の評価
『ここは今から倫理です。』は絵に少し癖があって好き嫌いが別れる可能性があります。
ただし、今までなかった倫理教師ものと言う着眼点は評価したい作品となります。
。
以下、レビュー詳細と感想になります。
ネタバレ含むので読みたい方のみ読んでください。
- 今までなかった倫理教師ものと言うジャンル
- 主人公の魅力の深掘り
- 1話ごとに変わるキャラクターの設定もしっかり練られている
この漫画の主人公高柳は、イケメンでクールな印象を受けますが、実は内面は熱血な人物であると感じました。
とても人間的で魅力的なキャラだと思います。
またセクションごとに変わる生徒、教師などのキャラクターもしっかり設定されていて、深掘りもしっかりされているので設定は高めに付けてます。
- 好き嫌いが別れる絵柄かも
- とはいえ人物や背景はしっかり描かれている
僕はよほどじゃない限り画力でマンガを選ばないので、参考にならないかもですが、背景、人物はしっかり描かれています。
ただ人物描写に少し癖があるので、そこは好みが別れるかも。
それを差し引いても、テーマ設定やキャラの深掘りはしっかりしているので絵柄を気にせずストーリーラインを楽しめるマンガではあると思います。
- 生徒自身も気がついていない悩みの根本に主人公が気づく
- 哲学・倫理学の見方から解決策(思考法)を諭していく
- 『善』だけでなく『悪』に関しての言及も
結構自身の悩みを考えるときに、やってしまいがちなのが外的要因の整理が甘かったりその悩みに対して懐疑的に慣れていなかったりと言うのが多い気がします。
個人的な悩み事ですから、思考は主観的になりがちですし、その場合誰かに相談しない限りは客観的に施工する事は難しいと思います。
私も前の会社を止めるときは友人にすごく相談に乗ってもらっていたので、客観的に物事を判断できましたが、普通は難しいですよね。
そういった面では客観的に悩みを分析していく事、外的要因を懐疑的にみていくことの重要性をわからせてくれます。
さすが倫理学マンガ!!
また、よくありがちな偽善のゴリ押しをせず、偽善は偽善と認め苦悩する主人公の様や、視点の転換の話(見方が変われば善悪は逆転する可能性がある)も描かれているので好感が持てます。
さすが倫理学マンガ!!(2回目)
一番最初にも述べたとおり、倫理学の入門書にお勧めな一冊となります。
マンガですのでライトに読めますし、使っている言葉はそこまで難しくないものの内容はしっかりしているのでお勧めです。
1話ごとの主人公は高校生なので、高校生が読んでも感情移入しながら楽しく学べる内容ではないかと思います。
人の悩みは普遍的なものが多いので、もしかしたら先人(哲学者)が悩み抜いてその人なりの結論を出している可能性もあるのでこの機会に勉強してみるのもいいかもしれませんね。
『ここは今から倫理です。』の口コミ
それでは『ここは今から倫理です。』の口コミについてみていきましょう。
ロック関係無いけど、「ここは今から倫理です。」という漫画が好きで。というか高柳先生が好きなんです。最高に魅力的です。偉人の言葉を借りて倫理を説いていくんだけど彼は決して聖人ではないのです。すごく人間臭いんです。そんなところも好きです。総じて高柳先生好きです(n回目) pic.twitter.com/FwIAjFrIun
— Stag Beatles (@stag_beatles) August 15, 2020
ここは今から倫理です。を全巻購入して今読み終わったのですが…買ってよかった…こんなに買ってよかったと心に染み入った作品はなかなかない…
— -・--- (@omomoonigiri) August 14, 2020
ここは今から倫理です
って漫画のセリフに心が刺さりました pic.twitter.com/K8x2rcFssz— 貴将 (@48ts0703) August 10, 2020
やはり概ね好評な模様です。
一方こんな意見も。
「ここは今から倫理です。」
なんとなく気になって試し読みしてた……絵(てか、表情?)が不思議というか、微妙というか……
嫌いな絵柄ではないけど、どう読み取ったらいいのか時々迷う
4巻まで出てるらしい大人買いするしか
でも仕事そっちのけで一気読みしそう……うーんwww
— とうフラボン (@toflavone) June 5, 2020
やはり絵の好き嫌いは別れるようです。
まあ内容は面白いので一話読んでみてから決めるのも手ですね。
番外編!
高柳先生『ここから今は倫理です。(著:雨瀬シオリ)』 VS ティム・ローレンツ教授『テロール教授の怪しい授業』(原作:カルロ・ゼン、漫画:石田点)
陰と陽、光と影、躁と鬱、このコントラスト。
個人的に見てみたい、クロスオーバー頭脳対決。 pic.twitter.com/0jAW95BQJT— GUY FAWKES (@genuine_organ) August 11, 2020
確かにこれはこれで面白そうなんですよねー。
僕も『テロール教授の怪しい授業』好きなので、これは是非見てみたいと共感しました(笑)
『テロール教授の怪しい授業』は機会があればレビューさせていただこうと考えていますのでご期待ください!
『ここは今から倫理です。』は無料で読める?
と言うことで『ここは今から倫理です。』の紹介をしてきました!
『ここは今から倫理です。』をオススメする理由は以下の3つとなります。
- マンガで倫理学が学べる
- 生徒たちの悩みが現代的かつ普遍的で感情移入しやすい(一部例外あり)
- 視点がめちゃくちゃ倫理学的
『ここは今から倫理です。』が面白かったので、是非読んでもらいたいと思い、無料で読めるところがあるか調べてみました。
現在『ここは今から倫理です。』は1話分しか無料で読むことができません。残念です!!
下のリンクから1話分は試し読み可能ですので気になったら試し読みしてみてください!!
最後までお読みいただきありがとうございました。良いマンガライフを!!